結核が激減した代わりに、死因の第一位になったのは?

代わりに死因の第一位になったのが、脳血管疾患です。
大別すると、脳の血管が破れる「脳卒中」と、脳の血管が詰まる「脳梗塞」がありますが、日本人に多かったのは、脳卒中のほうです。

「コレステロールが増えると脳出血が減る」ことの実態を示した調査(本文より)

昭和40年代(1960年〜)から昭和50年代(1970年〜)にかけて、日本人の栄養状態はよくなりました。
同時にコレステロールの量も増えて、脳出血の発生率が下がっていったわけです。

かつて秋田では脳卒中の人が多くいました。
医者はその理由を「塩分が高い食事をするから」と説明し、県民もそれを信じていました。

そこで<減塩>などの食事指導が行われたことは、よく知られています。

コレステロールが血管を丈夫にする(イラスト提供:AC illust)

しかし同時に「肉食」が広まっていたことは、多くの医師が見逃しています。
戦後、日本は次第に豊かになり、栄養状態も改善されてきました。結果、秋田県民のコレステロール値も150mg台から170mg台に上がりました。

他県に比べ、極端に低かったコレステロール値が上がっていくとともに、脳卒中や脳梗塞になる人も減っていったのです。

秋田で脳卒中が減ったのは「減塩によるもの」と説明されました。
秋田県の報告をきっかけに、日本では<減塩ブーム>が起こり、それが定着していったのです。

でも実際は、減塩ではなく<増コレステロール>が原因だったのです。