事件の背景を考える
一連の事件について、どのように考えるべきなのであろうか。
そもそも伊達家では家督をめぐって、不安要素があったが、父輝宗が押し切って政宗を後継者とした。
天正18年(1590)の小田原征伐に政宗が遅参した際、豊臣秀吉の怒りを買ったことは家中に動揺をもたらし、小次郎を推す潜在的勢力の暗躍を許したと考えられる。
政宗は、この危機を乗り切り、弟小次郎や反対派を粛清することによって、家中の統制を図ったといえる。
そして、秀吉の許しを得ることもできた。
毒殺未遂事件は、政宗が以後の飛躍を遂げるうえで、重要な転機となったのである。