日本は一斉に都会化した

養老 日本は一斉に都会化してしまいました。少なくとも頭の中では。病院で生まれて、病院で死ぬとしたら、僕たちは全員仮退院中の患者です。

でも病院で死ぬのは嫌。それこそ、虫捕りの最中に事故で死んだほうがマシです。

『死を受け入れること ―生と死をめぐる対話―』(著:養老孟司・小堀鴎一郎/祥伝社)

うちの兄は奥さんが先に死んで、10年くらい都営住宅で一人暮らしをしていました。競馬友だちが来て死んでいるのを発見したのは、ちょうど大晦日(おおみそか)でした。

在宅で死んで当たり前という感じですが、管理会社がうるさくて。次に借りる人が気にしないように、どういう状況で死んだかという。

小堀 そうですね。