ノルマンディー上陸作戦
やがてベルモンド演じるアンリ・フォルタンは「彼なりの正義」のため、犯罪組織の一員となり、遂には彼の有名な「ノルマンディー上陸作戦」に巻き込まれていく…
「ノルマンディー上陸作戦」とは、第2次世界大戦末期にナチス・ドイツ軍に占領されていたフランス北部を解放するため、1944年6月6日に連合軍によって行われた上陸作戦。2000人を超える死者が出て、最も手間取ったオマハ・ビーチでの奇襲とドイツ基地の陥落がこの映画のクライマックスとなり、現実でもこの奇襲成功により、第2次世界大戦は収束の方向に(広島・長崎はこの1年後)。
たまたまこの時期私はノルマンディー地方にいて、6月6日に世界の首脳がこの海岸に集まって式典を行い、老兵たちが顕彰されるのをテレビで見ていたので、余計感慨深く物語を見た。この時に亡くなったおびただしい戦士たちの墓が、内陸部に連綿と続く白い十字架となって残っているのも、偶然だが目にすることができ、祈らずにいられなかった。(日本人としては、靖国の英霊にも祈りを捧げずにいられなかった。海外からは批判もあろうが、自国の未来のために若者が命を捧げた貴さと悲しみは同じだ)
この映画は古典の名作を基盤にしながら、現代人のための『レ・ミゼラブル』としてリメイクされている。単に貧しさゆえの惨めさだけでなく、「戦争」という苦悩と不条理、やり場のない悲しみを余すところなく描いている。悲しむべきことに再び人類が「第3次世界大戦」と言っていい困難に陥っている今、私たちはベルモンドの名演技と共に、この映画を見るべきだろう。