森繁久彌さんに学んだ5つの「な」
もともと僕は、日々のささいなことに幸せを感じる人間です。瑤子さんや友人とおいしいものを食べに行き、笑いながらおしゃべりして。お会計が思ったより安かったら、もう言うことなし!
そんな幸せを味わうには、まず心が穏やかでなければいけません。そこで僕が肝に銘じているのが、尊敬する森繁久彌さんのモットー、「負けるな、腐るな、焦るな、いばるな、怒るな」の「5つの『な』」。最近は、特に「いばるな」「怒るな」を心がけています。
森繁のおやじさんは、本当に怒らない人でした。高級レストランの料理がまずかったとき、料理長を呼んで、「あなたが作ったの? 食べてみた?」と優しく尋ね、「のどちんこ、僕が手術してあげよか?」なんてとぼけたことを言ったんです。その場にいた一同、思わず噴き出しましたよ(笑)。
怒りをユーモアに変えて場をなごませながら、穏やかに真意を伝える。コミュニケーションの達人とは、あの人のことです。
昨年12月、子どもに頼らず自立した生活を送るために、夫婦でシニアレジデンスに引っ越しました。高齢者向け施設とはいっても、まわりは元気な人ばかり。自室を一歩出ればさまざまな人がいる。ちょっと面白い声掛けをしたり、名刺をもらったら顔と名前を覚えておいて呼びかけたりと、会話が弾むんです。
いつも笑顔で、いばらず、怒らず、言葉のキャッチボールを楽しむ。それが、いくつになっても幸せに生きるコツです。