赤い霊柩車で喜劇人生のフィナーレ

今朝、洗面所に行ったら、瑤子さんがまつげブラシを丁寧に洗っていたんです。「お母さんの遺品整理をしたとき、あんなにおしゃれだったのに化粧道具が汚れていてつらかった。だから私はきれいにしておきたいの」と言い、わーっと泣き出して。

「そうか、そうか。お母さんを思い出したのか」と言って抱きしめました。出会いから65年。こうして支え合いながら生きてこられて、本当に幸せだと思います。

僕ね、102歳まで生きることが目標なんです。亡くなったら、昨年まで31年間出演してきたドラマ、「赤い霊柩車」シリーズにちなんで、赤い霊柩車でお迎えに来てくれと頼んであって。葬儀業界には顔が利きますからね。(笑)

葬儀はとにかく盛大に。人が集まらなかったら、エキストラを200人ばかり動員してもらって(笑)。読経は短く、僕の昔の映像はたっぷりと。歌やダンスも入れて賑やかにいきたいですね。

最後はスクリーンから僕が、「皆さん、今日はようこそお越しくださいました。どうぞ幸せに長生きしてください。その代わり、今日来なかった人は恨み倒してやる!」なんて言って(笑)。

「さあ、お別れです。さようなら~」と『頓馬天狗』の歌が流れるなか、赤い霊柩車に乗って颯爽と去りたいです。

瑤子さんと別れることだけが心残りですが、お香典をすべて渡すので、そのお金で長生きしてもらいましょう。

それにしても、自分の葬式という「料理」にも「砂糖」をたっぷり入れなきゃ気が済まないなんて、僕は頭のてっぺんから足の爪先まで喜劇役者ですね。葬式の企画はほどほどにして、芸を磨き、筋トレに励んで喜劇役者の最高齢を更新したいと思います。

 

<大村さん流 幸せの極意>
ユーモアをまじえながら
言葉のキャッチボールを楽しむ