「とくに病気はないのに体がだる重い」「午後になるとどっと疲れが」「睡眠時間を確保しているのに眠気がひどい」…。原因がよくわからないながら、こうした心身ともに冴えない症状を訴える人が増えていると糖尿病をはじめとする生活習慣病・肥満治療のためのクリニックを東京・銀座で開業する牧田善二先生は言います。一方で多忙な名医ほど「食事」を活用して疲労回復しているそうで――。今回、先生の著書『疲れない体をつくる最高の食事術』から一部引用・再編集してお届けします。
悲鳴を上げない「腎臓の疲れ」に要注意
一口に「疲れ」と言っても、さまざまな種類があります。
スタンフォード大学でアスレチックトレーナーを務める山田知生氏は、著書『スタンフォード式疲れない体』の中で、疲れには大きく3つの種類、すなわち「脳神経系由来の疲れ」「筋肉の疲れ」「内臓の疲れ」があると区分けしています。
たとえば、難しい問題について考えたり、長時間の会議に参加したり、あるいは、ストレスが溜まっているときなども、「あー、頭が疲れた」と感じるはずです。
激しい運動をすれば、筋肉が疲れます。
逆に、デスクワークばかりで運動不足の状態が続くと、首や肩、背中がこります。これもまた、一種の筋肉の疲れです。
一方、内臓の疲れで自覚しやすいのが胃腸です。
食べすぎたり、消化の悪いものや傷んだものを口にしたりすれば、胃もたれ、吐き気、腹痛、下痢などの胃腸症状がてきめんに現れます。
これら3つの疲れは、お互いさまざまにリンクしています。
適度な運動をしたことで「筋肉の心地よい疲労感」に包まれていれば、思考も前向きになり、内臓も活発に働きます。
でも、内臓が疲れていて体調が悪ければ、いいアイデアも浮かばないし、運動をする気にもなりません。
頭も筋肉もネガティブな状態にし、悪い慢性疲労を蓄積させるという点で、内臓の疲れはタチが悪いのです。