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昨年は、モトザワ自身が、老後の家を買えるのか、体当たりの体験ルポを書きました。その連載がこのほど、『老後の家がありません』(中央公論新社)として発売されました!(パチパチ) 57歳(もう58歳になっちゃいましたが)、フリーランス、夫なし、子なし、低収入、という悪条件でも、マンションが買えるのか? ローンはつきそうだ――という話でしたが、では、ほかの同世代の女性たちはどうしているのでしょう。「老後の住まい問題」について、1人ずつ聞き取って、ご紹介していきます。

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離婚シングルマザーの須磨子さん

同じバツイチでも、離婚後の生活は、子どもの有無によって大きく違うでしょう。子どもがいなければ、シングルに戻っても自分一人を喰わせていけばいいだけですが、シングルマザーになったら、子供たちには、教育費などのお金も手間や時間もかかります。子どもが社会人になるまでは、たとえ定期収入があったとしても、経済的には厳しいでしょう。

首都圏の賃貸マンションで一人暮らしをしている須磨子さん(仮名、59)は離婚シングルマザー。娘2人がようやく社会人になって家を出て、完全な「おひとりさま」になりました。実家の工場の手伝いと近所の子どもに教える個人塾、時々フリーの翻訳家、というトリプルワークで生計を立てています。老後の家は、まだ考えられないようです。

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須磨子さんがいま住んでいる賃貸マンションは、私鉄駅徒歩10分強。3DKで家賃は11万4000円。娘2人を連れて夫と別居した11年前から借りています。居住者が変わった時には大家に連絡する決まりのため、下の娘が独立した昨春、一人暮らしになったことを伝えました。すると大家は、「えっ」と絶句しました。

「ああこれか、って思った。年を取ると、一人暮らしは嫌がられるんだ、って実感した」と、須磨子さんは振り返ります。

須磨子さん一人だと、将来、家賃が払えなくなったり、最悪、孤独死したりするかもしれません。そのリスクを大家は憂えたのでしょう。ただ、一瞬うろたえた大家はすぐに軟化。「まあ、でも法人契約だから、大丈夫ですよね」と、住み続けることを了承してくれました。ほっとしました。