ハンデのある弟、草太の存在

七実は兵庫県神戸市の高校3年生。地頭が良くて明るく、ユーモアのセンスが抜群。しかし、学校では地味なグループに属していた。

父親・耕助(錦戸亮)は5年前に急性心筋梗塞で他界している。母親・ひとみ(坂井真紀)は整体院で働き、七実とその弟・草太(吉田葵)との生活を支えていた。朗らかな女性だ。中学2年生の草太も明るい性格であるものの、ダウン症であり、やっと1人でバスに乗れるようになったばかりだった。

1人親家庭で、ハンデのある草太がいるため、周囲には岸本家を「かわいそうだ」と考える人もいた。もっとも、当の岸本家にそんな意識はサラサラない。仲良く幸せに暮らしていた。幸不幸は他人が決めることではない。このドラマはそれを教えてくれる。

ひとみは子供たちが生きがいだった。七実もひとみが大好きで、草太がかわいくてたまらない。草太もひとみと七実を慕い、そばを離れたがらなかった。

七実の彼氏・小平旭(島村龍乃介)が草太の存在を知った途端、連絡して来なくなると、七実の側から絶縁を通告する。

「ダウン症の子がいる家にはいろいろあるけど、ウチの家族にとって弟は面倒のかかる存在ちゃう! むしろ私が家族の中で面倒な存在で、弟に助けられている!」(七実)

七実にとって譲れない一線だった。愛する家族のことを疎まれたら、誰だって憤慨する。

第2話 場面写真 父親・耕助(錦戸亮)(『家族だから愛しんじゃなくて、愛したのが家族だった』/(c)NHK)
第2話 場面写真 父親・耕助役の錦戸亮。家族を残し早くに亡くなっている (『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』/(c)NHK)