フリーランスの金額交渉は…(写真提供:Photo AC)
2024年11月に「フリーランス・事業者間取引適正化等法」が施行されることになり、新しい働き方を考える人が多い昨今。廃業するフリーランスは全体の9割という統計データがあるなか、25年以上ずっと仕事が途切れず、50代以降も成果を出し続けている人の働き方とは?    スキルの高め方、人脈のつくり方、仲間と組んで仕事をするコツ、めげないマインドの保ち方、コミュニケーション能力の磨き方……。小川真理子氏 著書「女性フリーランスの働き方」からフリーランスで仕事をしていくためのヒントを抜粋して紹介します。

経験が浅い人が優先するべきなのはお金よりも実績づくり

「仕事の依頼がきたときに、金額が安いと思ったら交渉をしてもよいか」と質問を受けたことがあります。
回答は、「経験がどれだけあるかによって異なる」です。

それなりの経験があるのなら価格交渉をしてもいいと思います。
フリーランスになりたてであれば、実績づくりを優先し、金額で仕事を決めるのは避けたほうが無難です。
というのも、フリーランスにとって、一つひとつの仕事には金額以外に次のような価値があるからです。

<仕事の価値>
1 実績が増える
2 次の仕事につながる
3 経験が自分を育てる   
4 出会いがある

1 実績が増える
プロフィールに書ける実績をどんどんつくってレベルアップさせていきましょう。
治療した症例の多い医師のほうがトラブル率が少ないと考えられるように、フリーランスも量をこなしていくことが大切です。

私もフリーランスになって数年は、「少し安い」と思った案件も含めて、すべて提示された金額でお受けしていました。
お金よりも実績がほしかったからです。

2 次の仕事につながる
以前、ほかの人がインタビューしてきた60~90分の音声を文字化し、約1万文字の記事にまとめる仕事を何本もやらせていただいたことがあります。
WEBメディアに掲載される記事で、相場よりもかなり安い価格設定でした。いわゆる、「コスパの悪い仕事」です。

結果として、コスパの悪い仕事をしたことが次の仕事につながっていきました。
「WEBのお仕事もできるんですね」と、WEBメディアの仕事がどんどんくるようになったのです。

3 経験が自分を育てる
会社員のように上司や先輩から指導を受けることがないフリーランスは、自分で自分を育てていく意識をもつ必要があります。
実際に仕事をしていくことが、いちばんの学びになります。

失敗の経験もしかりです。
同じ失敗を繰り返さないことで、自分の土台が築かれていきます。
私のようなライターであれば、どんどん書いていくことで、スキルはアップします。

4 出会いがある
仕事の受発注では人と関わります。
そして、人との出会いが新しい仕事につながるケースは数多くあります。
人との出会いは宝物です。
一つひとつ大切に育てていきましょう。

フリーランスになりたての自分に仕事の依頼をしてくれたのに、金額で仕事を断ってしまうのは、もったいない気がします。
依頼がきたら、まず「金額以外にどんな価値を自分にもたらしてくれるのか?」を考えるようにしましょう。
そして、どんどんやってみることをおすすめします。

<POINT>
依頼がきたら「報酬以外の価値」も確認する