「チーム」として勝つために

でも、第1セット中盤で同点に追いつくと、一気にムードと流れが変わる。
それぞれがいつもどおり、劣勢からもやるべきことをやって、得点を重ね、念願のストレート勝ちまであと1点。

点差の余裕もあり、僕は思い切って得意なコースをめがけてサーブを打った。
結果は、わずかにアウト。
エンドラインをオーバーして、24対18。

自分のサーブで勝利を決めることはできなかったけれど、僕はまったく気にならなかった。
「いいところを見せてやろう」とか「主役になりたい」という思いはまるでない。
チームとして勝つために、最善を尽くす。

スロベニアのサーブからのマッチポイントも、自分で決めたいと考えることなく、自分のところにサーブがきたら、攻撃につなげられるようにサーブレシーブを返す。
ただ、それだけを考えていた。

会場で見ていた1万人を超えるファンの方々や、テレビの前で応援してくれていた方々は、あの瞬間をどんな思いで見ていたのだろう。

最後の1点を誰が決めるのか。
どんなかたちで日本が25点目を獲(と)るのか。