念願のオリンピックの出場権獲得

長く応援して下さっている方のなかには、もっといろいろな思いが込み上げていた方もいたかもしれない。

想像もできないほどたくさんの方々の注目が集まるなかでの最後の1点は、スロベニアのサーブが日本のエンドラインを大きく割り、サーブミスでの25点目。

ラインをオーバーするところまでしっかり見届けて、僕は勝利を確信した。
「やったー!!」
ベンチのフィリップ・ブラン監督や、スタッフ陣、アップゾーンでずっと声を出し 続けていたリザーブの選手たちが一気に駆け寄り、コートへなだれ込んでくる。

まさに割れんばかりの会場の大声援も聞こえた。
ガッツポーズをしながらコートを1周する選手や、同じポジションの選手同士で抱き合う姿も見えた。 
それぞれがそれぞれのかたちで喜び合う光景を見て、僕は心の底から思った。

頂を目指して』(著者:石川祐希/徳間書店)

終わった。
僕らはオリンピックの出場権を手に入れた。
勝ったんだ。

2023年のシーズンが始まるときからずっと、僕たち男子バレー日本代表にとっていちばん大きな目標、最大のターゲットが、パリオリンピックの出場権を獲得することだった。