外国の脅威を忘れることができた日本
こうした事情を踏まえた上で、日本についてあらためて考えてみましょう。
日本は島国でした。だから敵が攻めてこない。
いや、実際には攻めてくる外国はあったのです。でも陸続きではなかったので、とりあえず忘れることができた。
東アジアとの交流が盛んだった奈良時代や平安時代初期までは、国防は朝廷における重大な関心事でした。しかし、中国の勢力も、朝鮮の王国もなかなか攻めてこなかった。
それで遣唐使が派遣されなくなるころ、朝廷は「外国に攻められたらどうしよう」という恐れをほぼ捨て去ってしまったーー。
それこそが、貴族が民衆に関心を寄せる必要がなくなった理由です。