送り火「鳥居形」と遍照寺の灯籠流しの写真
広沢池から見た「五山の送り火」のひとつ「鳥居形」と遍照寺の灯籠流し(撮影◎筆者)
NHK大河ドラマ『光る君へ』の舞台である平安時代の京都。そのゆかりの地をめぐるガイド本、『THE TALE OF GENJI AND KYOTO  日本語と英語で知る、めぐる紫式部の京都ガイド』(SUMIKO KAJIYAMA著、プレジデント社)の著者が、本には書ききれなかったエピソードや知られざる京都の魅力、『源氏物語』にまつわるあれこれを綴ります。

前回「『光る君へ』まひろと道長、子を授かった石山寺、まひろがつけていた赤い帯って?いけにえの姫・彰子とイメージが重なる女三の宮。彼女が好んだ「桜かさね」の細長など、平安装束の美にふれる」はこちら

『源氏物語』誕生の瞬間が近づいてきた

『光る君へ』第30回は、地味な狩衣を着た道長(柄本佑)が、人目を忍んでまひろ(吉高由里子)を訪ねるというドキドキの場面で「つづく」となりました。

オリンピックの中継で次の放送は8月18日。早く続きが観たいのに、と、“お預け”状態でやきもきしている方も多いのではないでしょうか。

次回はついに、物語執筆の依頼へと話が進みそう……。『源氏物語』誕生の瞬間が近づいてきたようです。

安倍晴明(ユースケ・サンタマリア)の“予言”どおり、『源氏物語』を生み出すまひろが道長を照らす光となるのか――。だとすれば、『光る君へ』というタイトルが示すものは何か。それも気になります。

ドラマが始まる前は、「光る君」は光源氏のことだと単純に考えていました。ストーリーが進むにつれて、「なるほど、道長(そして彼をモデルにした光源氏?)のことかな」と思っていたのですが、ひょっとすると、まひろ自身が「道長にとっての光である」という意味も含まれているのかもしれませんね。

その光は、明るい陽の光ではなく、闇夜を照らす月の光に似たものか……。などと、勝手に考察して楽しんでいます(外れていたらすみません)。

命がけの「雨乞い」で一気に老け込んだ晴明も、そろそろ天命が尽きそうな気配。遺言のごとく、道長に啓示を与えたように思えます。