(写真提供:Photo AC)
60年以上愛される『小さな恋のものがたり』や、明るくにぎやかなファミリー漫画『ハーイあっこです』など、今も多くのファンを魅了する漫画家・みつはしちかこさん。83歳になり、家族のことを思い出しながら、ひとり暮らしを楽しんでいます。今回は、みつはしさんの新著『こんにちは! ひとり暮らし』から、心あたたまるエッセイの一部をお届けします。

捨てられない、生前整理は難しい

わたしは今、2LDKのマンションに住んでいますが、二つある部屋の一つはすっかり物置場になっています。

そろそろ思い切って生前整理をしておかなくちゃ、子供たちに迷惑をかける、と片づけはじめるのですが、みんな思い出がしみ込んでいて捨てられないのです。

結局、途中でギブアップして、捨てる決心をしたものをまた元に戻してしまいます。

しかし、元に戻そうとしたものが元に収まらないというのは、どういうことなのでしょう。

そんなに詰め込んでいたのかしら……。そうなのでしょうね。

引っ越してきたときは、結構広々としていたのに、気がついたら物だらけになっている現実。