農林水産省が実施した「作況調査(果樹)」によると、令和4年産果樹の結果樹面積は16万6,000haで、15年前と比べて4万4,200ha減少したそうです。近年の経済不況も手伝って、果物が食卓に並ぶ機会が少なくなっていますが、技術士(農業部門)で品種ナビゲーターの竹下大学さんは「日本の果物は世界で類を見ないほど高品質。それゆえ<日本の歴史>にも影響を及ぼしてきた」と語っています。そこで今回は、竹下さんの著書『日本の果物はすごい-戦国から現代、世を動かした魅惑の味わい』から「スダチとカボス」についてご紹介します。
スダチとカボスの違い
スダチとカボスは、どっちがどっちだったかわからなくなりがちな柑橘だ。生産量はカボスのほうがやや多いものの、よきライバルに見える。
直径3~4cmで小さいほうが徳島県特産のスダチ、5~6cmと少し大きいほうが大分県特産のカボスである。
見た目はそっくりだが、果肉の色はまったく異なる。ライムに似た黄緑色がスダチで、黄色いのがカボスだ。香りはスダチのほうが強い。
味についても誰もが認識できる程度の違いがある。やや雑味を感じるのがスダチで、スッキリしているほうがカボスだ。
上品な果汁感を楽しみたければカボス、料理の味に深みを持たせたければスダチと、使い分けしてみたい。