小林和沙さん
(Photo Hiroki Nishioka)
オリンピック競技である重量挙げは、ウエイトリフティングのこと。同じようにバーベルを持ち上げる競技で、パワーリフティングという種目があるのを知っていますか?ウエイトリフティングは頭から上にバーベルを持ち上げますが、パワーリフティングは頭から上に持ち上げることなく競うもので、パラリンピックの競技として採用されています。出産後にパワーリフティングに出会い、日本記録を作った女性がいます。その夫でライターの中森勇人さんに、妻の活躍を綴ってもらいました。(写真提供◎中森さん 以下すべて)

お風呂の脱衣所で日本記録達成を知り

妻の小林和沙(40歳)がパワーリフティング競技で日本一になり、同時に日本記録を達成したことを知ったのは、3歳の娘を自宅のお風呂の脱衣所で拭いていたときのこと。
大会の様子はライブ配信されていたのですが、現地のネット環境が悪くフリーズのオンパレード。見ていてもイライラが募るばかり。もう夕方だし、「お風呂に入ろう!」と。

そろそろ結果が出たのではと脱衣所から電話をかけると「優勝したよ」と。
その日、妻は全日本パワーリフティング選手権大会(マスターズクラシック部門)に出場するために長崎県対馬にいました。

午後3時ごろから出場となったので早速パソコンの電源をオン。3歳の娘と9歳の息子は応援のためパソコンの前でライブ映像に釘付けでした。
序盤戦、途切れ途切れになる画面から、首位との差が20kgもあることがアナウンスされて、苦戦していることがわかります。

パワーリフティングには3種目あり、肩に乗せてしゃがみこんでから持ち上げる「スクワット」、仰向けに寝転んだ状態で持ち上げる「ベンチプレス」、床に置いたバーベルを持ち上げる「デッドリフト」があります。その3種目の合計重量で優勝を競う競技で、1種目につき3試技を行い、1試技目から順に自己申告で重量を増していくのです。