合理的な整理の方法

まずゼミ生の各年次の代表を研究室に招き入れて「欲しい本があれば好きなだけ持ち帰って」と伝えた。

経済に関わる本は、経済学を学ぶ学生に役立ててもらうのが一番だ。

片づけ中(写真:『身辺整理 ─ 死ぬまでにやること』より)

この作業で研究室の本のうち2割くらいは減ったと思う。

もし私に体力と時間があれば、残りの8割の本を一冊ずつ吟味して、売る本と捨てる本をより分けていたかもしれないが、そこは潔く諦め、引き取り手のない書籍は遺品整理業者に依頼して処分することにした。

遺品整理業者は引き取り品を市場で売却する。書籍の場合はかなりの割合で売却できるので、比較的低コストで引き受けてもらえる。

『身辺整理 ─ 死ぬまでにやること』(著:森永卓郎/興陽館)

回収日当日、業者から派遣された4人の男性がやってきた。

妻も手伝いに来たが、本を棚から下ろして段ボール箱に詰めるので精一杯。

ぎっしりと本の詰まった段ボール箱を持ち上げるなんてことができるわけがない。

一方、プロ達の仕事ぶりは鮮やかだった。

ちょっと蹴飛ばしたくらいでは微動だにしないような重い箱をヒョイヒョイ持ち上げてトラックに積んでいく。

こうして午前中のうちに研究室の本棚からすべての本や資料、そして研究室に残されていた20年間にわたって積みあがった雑貨が消え、研究室は私が最初に借りたときの状態に完全に戻った。

こんなにすっきり(写真:『身辺整理 ─ 死ぬまでにやること』より)

私は荷物を満載した2トン積みトラックを大学から見送った。