皇国の母

「軍国の母」は11万8948枚というヒットとなった。

このヒットに目をつけたコロムビアは、昭和13年(1938)2月に音丸「皇国の母」(作詞:深草三郎、作曲:明本京静)を発売した。

『昭和歌謡史-古賀政男、東海林太郎から、美空ひばり、中森明菜まで』(著:刑部芳則/中央公論新社)

この4番の歌詞には、東洋平和のために夫が戦死したなら涙は流さず、残された一人息子を立派に育ててみせるという、「皇国の母」の姿が描かれる。

そのような綺麗ごとで諦められるものではないが、実際に戦死して遺骨となって帰ってくる家庭も出てくる。

「母もの」は、そうした遺家族を慰めるレクイエムともなった。