さまざまなジャンルの曲が提供される

この点は、万城目以外の作曲家の作品に恵まれたことも大きかった。

上原げんとは、昭和26年2月の「ひばりの花売娘」(作詞:藤浦洸)で岡晴夫とは違ったアップテンポな「花売娘」を提供した。

(写真提供:Photo AC)

また同29年(1954)5月の「ひばりのマドロスさん」(作詞:石本美由起)では、同32年(1957)3月の「港町十三番地」(同)へと続くマドロス路線を切り拓いた。

ひばりの師の1人である米山正夫は、昭和27年(1952)5月の「リンゴ追分」(作詞:小沢不二夫)で民謡の節回しを上手く取り入れ、同28年(1953)1月の「津軽のふるさと」(作詞作曲:米山正夫)で歌曲のような芸術性を見せた。

昭和30年代にひばりが東映時代劇に出演するようになると、数多くの主題歌や挿入歌が作られた。

そのなかでも昭和33年(1958)6月の『花笠若衆』の主題歌「花笠道中」(同)は、ひばりの股旅ものの道を拓いた。

さらに昭和36年(1961)4月の「車屋さん」(同)では、マンボのリズムと江戸小唄の要素を融合させている。