時事問題から身のまわりのこと、『婦人公論』本誌記事への感想など、愛読者からのお手紙を紹介する「読者のひろば」。たくさんの記事が掲載される婦人公論のなかでも、人気の高いコーナーの一つです。今回ご紹介するのは神奈川県の60代の方からのお便り。長年勤めたパートを辞め、将来の迷いや不安に焦りを感じる中、見つけたのは――。
「勝負」を楽しむ
最近、さまざまなコンテストに挑戦する日々を送っている。コンテストといっても、ピアノやダンスの発表ではなく、短歌や料理などである。先日は、「深海」をモチーフにしたプリンのアイデアレシピコンテストに応募した。
結果は落選に終わったが、あれこれとアイデアを練り、一つの完成形に仕上げる過程はとても楽しいものだった。賞金が出るものも多いので、モチベーションはさらに高まる。次に応募しようと画策しているのは、缶詰のパイナップルを用いた料理のコンテストだ。
この春、長年勤めたパート先を辞めた。社会とのつながりが薄れ、時間ができたぶん、将来への迷いや不安が頭を占めるようになってしまったのだ。何か新しいことを学ばなくては、第二の人生を楽しめないのではないか、という焦りがあったように思う。そんな折、ひょんなことからコンテストにたどり着いた。
これまで培ってきた経験や知識をフル活用。だが、それだけではいいものはできない。ルールや条件に合ったアイデアを練る過程で、勉強も必要だ。勝負しつつ、楽しみつつ、前に進んでいるような気がする。いい趣味に出合ったと思う。
家族は、そんな私の挑戦にあまり興味を示していない。夫など気づいてもいないだろう。それでも構わない。これが今の私にできる、社会とのかかわり方なのだから。