成績優秀だった学生時代

下重 秋吉さんには学問を志してほしかった?

『母を葬る』(著:秋吉久美子、下重暁子/新潮社)

秋吉 はっきりいわれたわけではないけど、名門大学で学んでほしかったはず。それも、お金があまりかからない国立大学で。私、中学生くらいまでは、大して勉強をしなくても成績がよかったんです。一学年に500人くらい生徒がいるなか、クラスで1番、学年で10番以内に入ったりもした。母は嬉しかったと思います。

ところが、受験生が一番勉強しなくてはいけない高校3年生の夏休みに、斎藤耕一監督の映画『旅の重さ』のロケで四国に行っていました。自分でオーディションに応募して役をもらったのですが、

「夏休みにどこかへ行けば、受験勉強しなくて済むぞ」

なんと、そんなモチベーションだったんです。どういうわけか、「勉強しない=入試に失敗する」という頭はまったくなかったんですね。

こうして大学受験は大失敗、滑り止めにも全部落っこちました。