(イラスト:tomoto)

脳の活性や自己肯定感アップと、いいことずくめ

私は、自分史づくりには8つの魅力があると考えています。まずAさんのように、経験したり達成できたことを通じて自分を肯定し、(1)「自信が生まれる」ということ。

その過程で自分を見つめ直し、失敗や挫折にも意味があったと思えるようになる効果も見逃せません。88歳のBさんは、親に進学を反対され、夫からも「女は家庭を守るものだ」と留学の夢を阻まれたことを、「思い出すだけで悔しい」と語っていました。

しかし、楽しかった子ども時代や、趣味の手芸とボランティアに打ち込んだ日々を綴るうち、「私の人生、まんざらでもなかったわ」と。そのように、(2)「自分をよく知ることができる」ことも自分史の魅力の1つでしょう。

Bさんは自分史の表紙に得意とする手芸作品を載せたところ、「Bさんらしい」とみんなから褒められました。このように得意なこと、好きなことを再確認して、(3)「新しい生きがいや目標が生まれる」ことや、(4)「自分をよく知ってもらえる」ことも、自分史づくりの魅力です。

私は、母が高齢者施設へ入る前に聞き書きを行って自分史にまとめました。それが私と母との(5)「コミュニケーションを深める」ことに繋がったのです。また、それを読んでくれた施設の皆さんが、母のあだ名や故郷の山の名前を会話に盛り込むことで、不安そうにしていた母とのコミュニケーションに役立った、と伺いました。