初めてのボヤ騒ぎで気づいた母親の変化

年が明け、母親であるNさんの知人から長男に1本の電話がありました。「お母さんが火事を起こしたから、早く帰ってあげて」という連絡。驚いた長男が他の兄弟にも状況を伝え、急いで実家へ車を走らせると、長男の顔を見たNさんからこう言われました。

「お鍋の火をつけたまま、買い物へ行っちゃったみたい。今までは、火が上がることはなかったのに……」

『介護のプロだけが知っている! 介護でもらえる「お金」と「保障」がすらすらわかるノート』(著:河北美紀/実務教育出版)

母親からこれが初めてではないことも明かされました。

幸い燃えたのは台所の壁の一部。長男はその日実家に泊まり、母親のNさんと過ごしました。夜になり喉が渇いてふと冷蔵庫を開けると、「こんなに誰が食べるの?」というほど大量の食材が入っているのを発見。

しかも同じものばかり。大根4本、モヤシ8袋、ヨーグルト24個、3玉入りのうどん5袋、玉子3パック……。

冷凍と冷蔵の区別もわからなくなっているようで、冷凍用のうどんが冷蔵に入っていて消費期限が切れ、黄色く変色していました。

長男は母親に起きている「変化」を感じました。