あなたは「趣味は何ですか?」と聞かれて、堂々と答えられる趣味がありますか?「今は忙しいけれど、時間ができたらやりたい趣味がある」、という方も多いのではないでしょうか。多数の趣味を持つ作家・国文学者の林望さんは、「趣味は本気で取り組むからこそ楽しくなり、思いがけない自己実現にもつながる」と語ります。そんな林さんの著書『結局、人生最後に残る趣味は何か』より一部を抜粋して紹介します。
趣味は友だち作りの場ではない
趣味を始めようとする人の中には、友だちを増やしたいとか社交の機会を増やしたいという目的を持つ人がいます。
例えば、趣味であるところの草野球よりも、試合の帰りに居酒屋に寄って仲間と楽しく飲み食いするのが楽しみ、というような話をよく耳にします。
案外、そういう考えの人が多数派なのかもしれませんね。けれども、人間関係を目的にした趣味はちょっとまた問題です。
なぜかといえば、趣味本来の目的から離れてしまうからです。
私自身は友だちを作るために何かを始めようとも思ったことがありませんし、友だち作りのために団体やサークルに入ろうと思った経験も皆無です。
いや、そもそも友だちを「多く」持つ必要なんてないと私は考えています。心を許して話ができる友人は、せいぜい一人か二人。
その他の人とは、必要に応じてつきあうこともありますが、それは通り一遍の世間づきあいで、しょせん形式的なものです。
だから、親しくもない人と頻繁に会って会話などせずとも、じゅうぶん楽しく生きていけます。相手にしてみても、たぶん同じような感覚じゃないでしょうか。