カネの力だけでチームを強化したらプロ野球は衰退する
有能な人材を探し求め、汗水たらして育成する気持ちを失ったらチームを維持強化することはできなくなるし、やがてファンの信頼を失い衰退してゆく。これまでの巨人がいい見本ではないか。
「金さえあればなんでもかなえられるし、幸せになれる」と思うのは間違っている。
先述の「日米ベースボールサミット」で大リーグの幹部たちが「日本は大リーグの複数年契約の真似だけはするなよ」と忠告してくれてから36年後、象徴的な現実となったのが10年総額1015億円の大谷と、12 年総額471億円の山本のドジャース移籍であり、大谷の懐をねらった元通訳の違法賭博詐取事件だった。
幸いにも大谷は被害者で、事件については潔白のようだが、アメリカのスポーツ賭博急拡大と大リーグの複数年契約バブルは、日本も他山の石として肝に銘じたほうがいい。
※本稿は、『阿部巨人は本当に強いのか 日本球界への遺言』(朝日新聞出版)の一部を再編集したものです。
『阿部巨人は本当に強いのか 日本球界への遺言』(著:広岡達朗/朝日新聞出版)
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