自分の行いに誇りを持って生きていける

もちろん、どんなによい行いをしてきても、一向に報われないケースもあるでしょう。私はこれまで多くの患者さんに接してきて、誰にでも親切で情け深く、日々善行ばかり積んできたような人が、がんなどの難病に冒されて亡くなっていったケースもたくさん見てきています。

それに、その生涯で多くの善行を積んできたような人が大きな災害で不幸な亡くなり方をするケースも少なくないでしょう。そういう方々も数多くいらっしゃるので、「善行を積んでいれば、いつかよいことが起こる」なんて、そう簡単には言えないということも重々承知しています。

(写真提供:Photo AC)

しかし、それでも私は「陰徳陽報」「因果応報」「情けは人の為ならず」といった言葉が諭す教えを積極的に実践していくべきだと信じて疑いません。

「自分がやったことは、いつか自分に返ってくる」という心構えで行動をしていれば、よいことをすればなんらかの恩恵が返ってくるわけで、ならば誰しも積極的によい行いをするようになるでしょう。

また、悪い行いをすれば自業自得で災難が返ってくるわけですから、誰しも悪いことをしようと思わなくなるのではないでしょうか。

それに、どんなことも「結局、自分自身が招いたことだ」という自己責任の意識も強まるでしょうから、たとえ悪い結果が出たりつらい状況が続いたりしても、悔んだりいじけたりすることなく、日々の自分の行いに誇りを持ってまっすぐ前を向いて生きていけるのではないでしょうか。