「誰にも分からないから、ちょっとくらい…」と、間違ったことやズルいことをしてしまった経験はありませんか。「『後ろめたさ』を伴う行動は、積み重なると自律神経バランスが大きく悪化してしまう」と指摘するのは、順天堂大学医学部の小林弘幸教授です。そこで今回は、小林教授の著書『心と体が乱れたときは「おてんとうさま」を仰ぎなさい: 人生が大きく変わる自律神経のルール』から、自律神経を整える方法を一部ご紹介します。
人間はおてんとうさまの光でスイッチが入るようにできている
おてんとうさまと自律神経は、非常に深い関係で結ばれています。
そもそも、私たちの自律神経は、毎日太陽が昇ったり沈んだりするサイクルに合わせて稼働しているようなものなのです。
一応説明をしておくと、朝、目が覚めると、日が昇ってくるとともに次第に交感神経が優位になり、心身が「活動モード」になります。これにより、日が明るいうちはさかんに体や頭を動かして仕事や作業に精を出すことができるわけです。
一方、夕方以降、日が暮れる頃になると副交感神経の働きが活発になり、日が沈んですっかり夜になると、副交感神経が完全に優位になって心身が「休息モード」に移行します。
そして、夜間、睡眠を取って心身を休めたら、翌朝、日が昇るとともに再び交感神経が活発になって活動に向けて動き出す――。このように、おてんとうさまの動きに合わせて自律神経のモードが切り替わり、日々規則正しいリズムがつくり出されているわけです。
おそらく、私たちの心身には「日が昇るとともに心身の活動度を高め、日中は仕事に汗を流し、日が落ちればねぐらに帰ってぐっすり休む」という「おてんとうさまに合わせたリズム」が本能レベルで深くインプットされているのでしょう。この大地に人類が誕生したときから、そういうリズムで動くことが初期設定されていたのかもしれません。