47年のつきあいになるという渡辺えりさんと木野花さんは、演劇界をともに駆け抜けてきた同志であり、よき友でもあります。「婦人公論ff倶楽部」発足1周年記念のトークイベントでは軽妙で楽しいトークを披露。互いに対する敬意が、長きにわたって友情が続く秘密のようです(構成=上田恵子 撮影=本社・武田裕介)
私たちを繋いだのは如月小春さんだった
渡辺 木野さんは朝起きたら植木に水をやって、それから掃除をするんでしょう。すごいよね。見習いたいけどさ、そんな人いるのね。
木野 いっぱいいますよ。(笑)
渡辺 この会場に、朝から掃除する人います? ほら、こんなにお客さんいても15人くらいしか手挙げてないじゃない。
木野 以前は、私も週に一度くらいしか掃除できなかったの。でもうちの植木を見た母から、「水をやる暇もないほど仕事をして、花を枯らしているような人に、若い世代を育てることができるのかね」って言われて。その言葉は、本当に沁みました。
渡辺 その話を聞いて、お母さんの言葉をそのまま芝居の台詞に使わせていただいたもの(笑)。もうずいぶん前のことよね?
木野 そうね。20年になるかな。
渡辺 その時私が心を入れ替えてたら、いま頃痩せてたよね。水やりだけは毎日するようになったんだけど。それはそうと、私たちのおつきあいもかれこれ47年になりますね。出会った時私は23歳、木野さんは30歳くらいだったんじゃないかしら。
木野 当時は女性の劇作家・演出家がまだ少なくて、若手のえり、私、それから如月小春さんが注目されていたのよね。私は青森、えりは山形で、東北出身同士じゃない。えりには親近感が湧いたけど、小春ちゃんは東京の人だから近づきがたくてね。