(写真提供:マガジンハウス)
漫才日本一を決める『M-1グランプリ』。24年度では「9人審査員制」が採用され、柴田英嗣さん(アンタッチャブル)、哲夫さん(笑い飯)、礼二さん(中川家)、若林正恭さん(オードリー)らが務めることが発表。歴代王者を中心に新しい顔ぶれがそろうなか、注目を集めているのが『M-1 2008』の覇者で、漫才に対する分析が鋭すぎて「石田教授」とも呼ばれる「NON STYLE」の石田明さんです。今回その石田さんの新刊『答え合わせ』から『M-1グランプリ』にまつわるお話を紹介いたします。

なぜ「準決勝」でウケても「決勝」でウケないのか?

同じ「舞台に立って漫才をする」でも、寄席の舞台とM-1のような賞レースとではかなり違います。寄席では、早い話「より多くの人にウケること」が正義ですが、賞レースでは必ずしもそうではありません。

特に、現在最大の賞レースであるM-1ともなると、万人に通じる「ウケ」よりもっとコアなものを求めるお笑いファンが一定数、見ています。いうなれば「普通のタイ料理よりパクチー増し増しなほうが好き」な人たちですね。

M-1は準決勝を勝ち上がるのが一番難しいんですが、それは、準決勝の会場にコアなお笑いファンが多い環境だからやと思います。

M-1は、万人受けを求められる寄席で爆笑をとってきたような人たちが、むしろ苦戦する世界。特に僕らが挑戦していたころは、その傾向が強かったと思います。