コアなお笑いファンにウケても…

だからといって、準決勝でバコーンとウケたコンビが決勝でもウケるかといったら、そうでもありません。なぜなら、回戦が進むごとに増えてきた「パクチー勢」が決勝では一気に減って、客層がふたたび寄席のそれに近くなるからです。

『答え合わせ』(著:石田明/マガジンハウス新書)

尖ったことばかりやっていると、準決勝までは勝ち上がれても、決勝で大きくスベる可能性がある。コアなお笑いファンを納得させつつ、ベタな笑いもとれないといけないんです。

僕らは寄席でウケていた口なので、準決勝を勝ち上がるのが大きなハードルでした。僕らと似た感じで、絶対に決勝に行けると目されながらも一度も行けずに終わってしまった実力派もいます。2024年2月に解散したプラス・マイナスなんかは、寄席ではかなりウケていましたが、M-1では準決勝の壁に5回も跳ね返されました。

一方、POISON GIRL BANDなどは準決勝でめちゃめちゃウケていましたけど、3回決勝に進出して3回とも結果はふるいませんでした。これは、お笑いの能力値が高すぎるからなんですよね。コアなお笑いファンにはウケるので、準決勝は突破できるけど、決勝を見ているお客さんは置き去りになりがちなんです。