遺言書の「有効・無効」はどうやって判断されるのか?相続トラブルはいかにして起こるのか?医学的な見解をもとに遺言書を精査する事業を行う遺言書のプロ・圓井順子さんが、〈家族が揉めない〉〈無効にならない〉遺言書作成のポイントをわかりやすく解説します。『遺言適齢期 予防医療と予防相続で争続は防げる』(幻冬舎)より一部を抜粋して紹介します。
突然ですが、あなたは「遺言書」を書いていますか?
親が「遺言書」をすでに書いているかご存じでしょうか。その遺言書が「有効」かどうか、確かめたことはありますか?
今日もまた、私はこうした相続争いの相談を受けています。私は医療系の会社の代表をしています。
この会社はとてもめずらしい(ニッチな)事業をしていて、医療過誤や交通事故後の後遺障害や労災認定などの調査を行っています。
もっと平たく言えば、医療調査、法医学研究所のようなところ(会社?)です。
そこに高齢者の相続で「意思能力」を問われる相談が驚くほど多く寄せられます。
意思能力とは、「法律行為をすることの法的な意味を弁識する能力」のことをいい、自己の行為の法的な結果を、理解することができる能力のことをいいます。
意思能力がないということは、「意思表示をすることによって、どんな結果や効果が自分に帰属するのか」を理解できないということを意味します。
意思能力を有しないと判断された場合には、その遺言書は無効になります。
高齢者等の不利益を防ぐ制度によって、あなたの遺言が家族間の争いで無効になり認められなくなってしまうことが実際にあるのです。
資産の大小にかかわらず、多くの人が「遺言書を書いておこう」と思うようになった昨今の社会の流れ、動きはとても良いことだと感じています。
でもせっかく書くのであれば、それが最後までしっかりと執行されるような準備をしておいていただきたいと思います。