介護のお金どこから捻出する?(写真提供:Photo AC)

超高齢化社会を迎えた今、親の介護は身近なものとなっています。しかし、そんな中子どもが親の財産を代理で処分することが難しくなってきているというのです。いざというときに「親の預貯金がおろせない」「実家が売れない」そんな事態を未然に防ぐにはどうすればいいのでしょうか?テレビ・雑誌で活躍する資産凍結対策のプロ、杉谷範子さんが解説する『親が認知症になると「親の介護に親の財産が使えない」って本当ですか?』より一部を抜粋して紹介します。

財産は家族ではなく本人のもの

子や孫たちが幸福に暮らせるよう、自分の大切な財産をしっかりと残したい──「高齢者」と呼ばれる年代を迎えると、多くの人々がそんな気持ちになるものです。

もちろんこれは、莫大な資産を持つ富裕層だけの話ではありません。長年にわたって、慎ましい暮らしをしながらコツコツと蓄えてきた預貯金などを次の世代の子や孫に有効に使ってほしいと願うのは、誰にとっても同じでしょう。

ところが近年は、財産の管理や承継をめぐるトラブルや悩みを抱える人が増えてきました。

流れが変わり始めたのは、10数年ほど前のこと。それまで、相続対策といえば、税理士に持ち込まれる「相続税」に関することが大半でした。

いかに上手に節税するのかがいちばんのテーマだったのです。しかし今は、それ以外にも大きなテーマが2つあります。

ひとつは、いわゆる「争族対策」。遺産相続をめぐる親族間のもめごとは昔からありましたが、近年はそれがかなり増えてきました。