「健診で指摘された異常値を健康食品で下げよう」「ダイエット食品で楽に痩せよう」など、健康食品を生活に取り入れる人が幅広い世代で増加しています。しかし2024年3月、サプリメントを摂取した消費者に健康被害が多数発生し、大きな問題となりました。そのようななか「実は、機能性や安全性について何の保証もない健康食品が多く販売され、健康被害の大半はこれらの製品で発生している」と指摘するのは、一般社団法人日本食品安全協会代表理事の長村洋一さんです。そこで今回は、長村さんの著書『健康食品で死んではいけない』より一部引用、再編集してお届けします。
健康によい緑黄色野菜の成分が真逆の作用に変わる
健康食品の安全性について考えるとき、私にとっても大きな教訓となったのが、緑黄色野菜に含まれるβ-カロテンで起きた問題だった。
古くから多くの人が感じていた「野菜が健康によい」というのが正しいことなのか証明するため、まず欧米で、次いで日本やアジアで疫学調査が行われた。
疫学調査とは特定の集団の生活習慣から特定の病気にかかったり、病気を防いだりするような現象を起こす因子の研究や分析を行う学問分野である。
医学、環境科学などの分野で特に広く行われている調査研究で、コンピュータの進歩により大容量のデータ処理が可能となり数々の新しい発見を生んでいる。