「何かもう、夢ん中にいるみてえだ!」

そして遂に完成した『一目千本(ひとめせんぼん)』を手にした蔦重。

「いやあ…。なんかすげえ楽しかったなあ…。いや、やることは山ほどあって寝る間もねえくらいだったけど、てえへんなのに楽しいだけって…。んな楽しいこと世の中にあって、俺の人生にあったんだって…。何かもう、夢ん中にいるみてえだ!」と本づくりの楽しさに気づくと、歓喜の声をあげるのでした。

アイデアマンである蔦重は、その後女郎屋はもちろん、湯屋や髪結い床、居酒屋などへ『一目千本』の見本を無料で配布することで、「ほしかったら吉原に行け」というサンプルプロモーションを実施。

その内容の面白さとプロモーションが見事にハマったことで、吉原は客であふれかえります。

そして駿河屋市右衛門から理解を得、勘当を解かれた蔦重は、義兄・次郎兵衛を手伝うべく、手引茶屋「蔦屋」にむけて唐丸とともに駆けだすのでした。