芸能活動を休止し、カナダへ留学して4年目の光浦靖子さん。芸能界を離れ、自分のことを誰も知らないバンクーバーで、まったく新しい人間関係を築いています。物価が高くて暮らしはつましくても、気持ちはどんどん解放されているそうです(構成:川口美保 撮影:本社・武田裕介)
自分の人生は一回しかない
2021年7月から、カナダに留学しています。子どもの頃からの夢で、いつか実現したいと思っていました。
このタイミングでの留学を決めたのは、30年近く芸能界で仕事をしてきて、このまま続けていくべきか悩んでいたからです。みんなを喜ばせたいとテレビに出て頑張っているのに、インターネットにはキツい言葉が溢れていて。人の鬱憤のはけ口になっているのではないか、と思った時に悲しくなってしまい……。
今考えると、私はこの状況に長いこと疲れていたように思います。それで一度、仕事を休もうと思いました。あっさり決断したと見られがちですが、悩んで決めた留学でした。自分の人生は一回しかないので、納得できる道を選びたかったんです。
正直、場所はどこでもよくて。ただ、東京外国語大学に通っていたのに英語が喋れないことがコンプレックスだったから、英語圏に行こうとは思っていました。世界の共通言語を喋れるようになれば、この先どんな仕事でも有利だし、そこは一応損得勘定もあって。
まだ留学を決心する前、バンクーバーで仕事をしている友達から「案内しますから、遊びに来ませんか?」とお誘いをいただいたんです。それで初めて訪れたのが18年。偶然、ホテルで北斗晶さんと佐々木健介さんご夫妻に会ったんですよ。バンクーバーに留学している息子さんに会いに来ていたそうです。
私も留学してみたかったと話したら、「したらいいじゃん。いいエージェント紹介するよ」と言われ、あ、そうだよな、と思って。これはもう、神のお告げだと思いました。