生き様が溢れるソロステージ
今までのオーディションなら、課題曲はやっぱり、夢を叶えよう! 仲間を信じて! みたいな明るく爽やかでポジティブでキラキラした歌詞のものが多かったように思う。
しかしノノガは違った。やはりちゃんみながプロデューサーというだけあって、強烈な皮肉を込めた歌詞や、強気で反骨心を露わにしたような歌詞もある。今まで彼女たちにNoを突きつけてきたものへのリベンジという感じがして、なんとも痛快で、とても晴れやかですがすがしい気持ちになった。
ソロステージでは、その人が歩んできた道、受けてきた傷、生き様、それらがステージ上に溢れていた。腹の底から引きずりだしたような、心から絞り出したような、抉るような言葉達。上辺だけのきれいごとではない、もっと人間の深い深い部分から放たれる、皮を剥いだ生身の感情。まさに、その人の人生、生き様がまざまざと浮かぶようなステージだった。
圧倒的実力を持ちながら体型でNoを突きつけられた経験のあるCHIKAは、今まで言われてきた言葉をラップにし、その反骨心をとんでもない力強さで歌い上げた。彼女のパフォーマンスは、「破壊」という言葉が一番しっくりくる。
恐ろしい程の歌唱力で声を張り上げ、激しく踊り、シャウトする。Kアリーナの天井が割れて、地鳴りがするんじゃないかと思った。本当にここまでの歌声で、バキバキに踊れる人をいまだかつて見たことがない。あまりにすごすぎて、笑ってしまった。人って、本当にすごいものを見ると笑ってしまうんだな、と思った。そんな逸材が、体型がどうなんて理由で見逃されてきたことに本当に怒りがわく。
アイドルやガールズグループは、選ばれし骨格の選ばれしパーツ配置の女の子達が、すでに完成されたルックスでキラキラ歌う、みたいなイメージだった。でも、世の大半の人は、それよりCHIKAのような体験に共感するんじゃないだろうか。一度はNoを突きつけられた立場から、その体験を隠さずに歌うからこそ、残酷な現実を生きる人の人生とシンクロするのだと思う。