「自分のことが嫌い」「自己肯定感が乏しい」「周囲にとても気をつかう」それは子どもの時に育まれる愛着がうまく形成されなかったからかもしれません。愛着の問題があると、逆境やストレスに弱くなってしまいます。では、大人になってからでも愛着の形成はできるのでしょうか?精神科医の村上伸治さんが「自己肯定感を育てて、何があってもグラつかない自分になる方法」を教えてくれる『大人の愛着障害:「安心感」と「自己肯定感」を育む方法』から一部を抜粋して紹介します。
些細な誤解で親子の距離が広がってしまった
虐待などの不適切な養育環境ではなく、まったく普通の家庭で育てられたにもかかわらず、愛着に問題を抱えている人が実は多いのです。
もっとも典型的なのは、神経発達症(発達障害)がみられる子どもの場合です。
愛着関係は相互のやりとりで形成されます。ASD(自閉スペクトラム症)がある場合、他者に関心を向けるようになるのは小学生以降になることが多いです。
他者との情緒・相互的交流の発達はとてもゆっくりなので、親との愛着形成もゆっくりで、少しずつしか進みません。
また、発達の問題がなくても、些細な誤解がきっかけとなり親子関係にボタンのかけ違いが生じ、それが長期化し、親子の距離が広がってしまった可能性も考えられます。
目立った衝突や葛藤がないため、親も子も自分たちのあいだにある溝を、なかなか自覚できません。
しかし原因はどうであれ、基本的安心感や自己肯定感が乏しく、それが子どもの頃から続いているのなら、どこかに愛着の問題(広義の愛着障害)が隠れていると考えるべきでしょう。