「第三者の目を入れる」という知恵
「もう一つの重要な意義」は、『誰が会社を潰したか』(北澤千秋著、日経BP社)からの引用である。
「『会社がすでに破綻しているからこそ日の目を見た調査報告書』『会社が潰れる前にこうした自浄作用を発揮すべきだった』という指摘もその通りである。
それでも、企業が社会的存在であることを自覚し、自らの手で破綻の原因と経緯を明らかにするという説明義務を果たそうとした姿勢は、素直に評価すべきである」
危機に瀕したというよりも、すでに死を宣告された組織を調べる現場に、「第三者の目を入れる」という知恵が生まれたのは、皮肉なことだった。ともあれ、この画期的な仕事が、その後第三者委員会という実務に発展していったのは、紛れもない事実なのである。
「とにかく真実を明らかにしたい」という思いから立ち上がった当時の第三者委員会は、十分社会的な意義を持っていた。それを認めるのに、やぶさかではない。
※本稿は、『「第三者委員会」の欺瞞-報告書が示す不祥事の呆れた後始末』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。
『「第三者委員会」の欺瞞-報告書が示す不祥事の呆れた後始末』(著:八田進二/中央公論新社)
真相究明どころか、追及から逃れる「隠れ蓑」に!?
「第三者委員会格付け委員会」委員として組織を監視してきた会計のプロフェッショナルが、第三者委員会を徹底分析する。