第一号は、あの山一だった
のちに「隆盛」を誇るようになる第三者委員会のルーツは、ほかならぬこのとき山一證券に設置された「社内調査委員会」だったのである。
設置の主目的は、新聞報道などで2000億円とも言われた、「簿外債務」すなわち損失隠しの実態究明だ。これが山一を倒した最大の病巣だった。
同委員会は、委員長には当時の嘉本隆正常務取締役が就き、その他取締役など社内の人間が7名、途中から社外の弁護士2人が加わるという形だった。だから、「名実」ともに、日弁連ガイドラインの第三者委員会には該当しない。
だが、この社内調査委員会が、例によってお手盛りの報告でお茶を濁すだけの組織だったかといえば、そうではなかった。