おしゃれは若返りの効果が…(写真提供:Photo AC)
「60歳の壁を超えると、女性は元気になり、男性は萎んでいく」。女80歳、もう年だからと自分を抑えるのではなく「あれもしたい、これもしたい」と積極的に生きてみませんか。ベストセラー『80歳の壁』の著者である高齢者専門の精神科医・和田秀樹さんによると、夫や子ども、世間体からやっと自由になれる高齢期こそ、女性の幸せのピーク《幸齢期》だと言います。最新作『女80歳の壁』より、楽しく壁を乗り越える秘訣を紹介します。

経験が/貴女の魅力を/惹(ひ)き立てる

60代になると多くの人は、子供の教育費や家のローンから解放され始めます。やっと「自由に使えるお金」ができるわけです。

それなのに、長い習慣から「お金を使う」ことに罪悪感を覚えてしまう人がいるのです。こうした考え方は、日本人に特有のものと言えます。

例えば、欧米では、白髪の幸齢者がポルシェから颯爽と降りてきたりします。杖を突いた幸齢の女性が真っ赤なシャネルのスーツを着て歩いていたりします。

「素敵ですね」と話しかけると、さらに素敵な言葉が返ってきます。

「シャネルはね、私のような年齢になって着るものなの。若い人にはシャネルの本当のよさはわからないから」

「ポルシェやフェラーリは、若造が乗るクルマじゃないのさ。俺たちは時間に縛られないからね。余裕をもって乗りこなせるんだよ」

カッコいいですよね。美学があるのです。

何の雑誌か忘れましたが、「年をとったらユニクロなんて着るな」という記事を見て、「確かにそうだ」と大いに共感しました。

ユニクロの服は機能的なのにリーズナブルで、すばらしいと思います。でも、私が幸齢者に提案するなら、こうです。

「ユニクロじゃなく、渋谷の109に行ってみたら」と。ユニクロと同じようにリーズナブルでありながら、109には個性的なお店が多数入っているからです。

ウインドウショッピングは若返りの効果があることが知られています。「これを着てどこに行こうかしら」「どんな服と合わせようかしら」と頭が回転します。

考えることが脳の刺激になるのです。そして、さらなる効果も期待できます。

それは、脳に体が騙されること――。脳はとても単純で、若々しい自分を想像すると、若々しい肉体になろうとするのです。