人生を楽しめる時間は思っているよりも少ない
しかし、ここで大切な視点は「何歳まで生きるか」だけでなく、「どのように生きるか」です。
皆さんの周囲の人は、どのように亡くなられたのでしょうか。多くの場合、病気になって最期は病院で迎えることが多いのではないでしょうか。
俗にいう「ピンピンコロリ」で亡くなる人は少なく、身体の機能が衰えたり、病気になったりして動けなくなってから死に至る場合がほとんどです。
厚生労働省では平均寿命、平均余命とともに日常生活に制限がない状態で動ける年齢を予測した「健康寿命」という数値も割り出しています。
この「健康寿命」はWHOが定義したもので、寝たきりや認知症などの介護が必要な状態になるまでの、健康で過ごせる期間を指します。
2019年度の健康寿命は男性が約73歳、女性が約75歳です(第16回健康日本21(第二次)推進専門委員会資料)。つまり平均寿命より男性は8年余り、女性は12年も前に自由に日常生活が送れなくなってしまうという現実があるのです。
この現状に鑑みると、60代で一度立ち止まり、「これからをどう生きるか」を考えることが大切ではないでしょうか。
私は、今を生きるミドルエイジがイメージする老人の入り口、65歳がいいタイミングだと思います。65歳から先、残された「健康寿命」は男性で8年あまり、女性でも10年ほどです。
自由に旅したり、食べたいものを食べたり、会いたい人と会い、語らえる時間は残念ながら限られているのです。
「退職後にその先のことは考えよう」「考えるだけで老人になってしまいそうだから、まだ考えない」などと先送りしていると、あっという間に時間が経ってしまいます。