(写真提供:Photo AC)
厚生労働省が公表した「令和5年(2023)人口動態統計(確定数)の概況」によると、2023年の死亡数は157万6016人で、前年より6966人増加しました。いつかはおとずれる<死>について、年間200人もの死に立ち会ってきた精神科医・和田秀樹先生は「みんな死ぬのだから、必要以上にこわがったり、不安になることもない」と話します。そこで今回は、和田先生が「ひとりになってからどう生きるか」を指南した新刊『死ぬのはこわくない ―それまでひとりを楽しむ本』から、一部を抜粋してお届けします。

大切な人を亡くした「寂しさ」とは

たった今、この瞬間も、寂しくて仕方がないと感じている人もいることでしょう。では、その「寂しさ」とはいったい何なのでしょうか。

もともとひとりで過ごすことに耐えられないというタイプの人は、一緒に過ごす人がいないというだけで、苦痛を感じてしまいます。

また、ひとりでいることは苦ではないけれども、つねに「自分のことを分かってもらっていない」とか「本音がいえない」と感じて生きているタイプの人も、寂しさを感じやすいといえるでしょう。

どんなときも「まわりに合わせないといけない」とか「他人に気に入られないといけない」と考えてしまう人は、心の底から他人とのつながりを感じられず、寂しさを抱え込んでしまうのです。こういうタイプの人は、喪失体験をする以前から、寂しさとともに生きていたといえます。