なぜ女性は夫の死から立ち直るのが早いのか

大切な人を亡くして、寂しいと感じるには、二つ条件があります。一つは、しゃべりたいのに、しゃべる相手がいない、疎外感や孤独感を感じてしまうときです。自分はひとりぼっちで、誰にも相手にされていない。そんなふうに思ったとき、人は寂しさを覚えます。

対象喪失で苦しんでいる人を診てきた経験からいうと、立ち直りは、女性のほうが圧倒的に早いです。この理由は、女性には話し相手になってくれる友達がいるからです。

『死ぬのはこわくない ―それまでひとりを楽しむ本』(著:和田秀樹/興陽館)

「夫が死んでしまって寂しくて仕方ないのよ」、友達にそう電話をすると、「そんなこといってないで、じゃあ、一緒にご飯でも食べようよ」という流れになり、外出し、会話を楽しむことができます。これが、悲しみを克服するのに、非常に大事なことなのです。

自分の思いを共有したり、気持ちを分かり合ったりすることで、人は孤独を乗り越えていきます。ひとりで塞ぎ込んでいては、悲しみが長引くだけなのです。

ひとりだと寂しくて寂しくて仕方がないという場合、今の時代、ネットでチャットをしたり、SNSを使って話せそうな相手を探すというのも一つの手だと思います。