寂しさと密接にかかわる前頭葉

もう一つ寂しいと感じる条件は、家に帰るとぽつんとひとり。それを意識してしまうときです。夫や妻が一緒にいたときは、うっとうしいなと思っていたとしても、いざひとりになると、必要以上に寂しさを感じてしまうものです。

ましてや、家族で住んでいた広い家にひとりで住むことになると、けっこう孤独を感じてしまうわけです。可能なら、ひとり住まい用に家を住み替えることをおすすめします。

(写真提供:Photo AC)

他にも、脳内にある前頭葉の衰えも、寂しさと密接にかかわっています。前頭葉の主たる働きは、ある考えにとらわれたとき、他の考えにスイッチする機能です。

年をとって、前頭葉の機能が衰えていると、一度悲しい感情や不安感情に陥ってしまうと、そこから逃れられなくなります。これも、寂しさを払拭できない原因の一つです。要は、前頭葉の機能が落ちているから、心の切り替えが難しいのです。

ただ、前頭葉に関しては、年をとったから機能が落ちたとは一概にいえません。前頭葉は若い頃から使っていなくては活発に機能しません。たとえば、テレビや学校の先生の言うことを鵜呑みにして疑わない、誰かの言いなりになり、言われた通りに生きていく。そんなことをしていたら、前頭葉はまったく鍛えられません。

前頭葉は、何歳からでも使えば動き出す分野です。前頭葉は想定外のことが起こったときに動き出します。悲しみにとらわれているときこそ、ちょっと普段と違う道を歩いてみたり、行ったことがないレストランに行ってみたり、読んだことがない本を読んでみたりと、想定外のことを起こしていきましょう。