玄関に靴は1足だけと決めています。これだけで部屋の雰囲気が軽くなる気がしませんか(写真:『無理をせず、無駄を楽しむ センスのはなし』より)
「センス」と聞くと、肩に力が入って窮屈という印象を受ける方もいるのではないでしょうか。「センスは『磨く』対象となるような堅苦しいものではなく、だれもが自分のものとしてたのしめるもの」と話すのは、SNSのフォロワーが10万人を超える人気プロダクトデザイナー・秋田道夫さんです。そこで今回は、秋田さんの著書『無理をせず、無駄を楽しむ センスのはなし』から、秋田さんが日常の中で大切にする「生き方のセンス」の一部をご紹介します。

部屋のコンセプトは「ほどよい居心地」

都内のおだやかな住宅街の一角に仕事場を借りたのは、20年ほど前のことです。

かつては、いかにも「デザインスタジオ風」な白くて広いオフィスを都心に構えていた時代もありましたが、Macのデザイン技術を覚えてからは、よりコンパクトなスペースで仕事がはかどるように。

玄関からベランダの窓までまっすぐに風が抜ける、長方形のワンルームが、わたしが多くの時間を過ごす空間となっています。

わたしにデザインを注文してくださったお客さんや編集者との打ち合わせや取材を受ける機会に、人を招くことも多いこの部屋のコンセプトは「ほどよい居心地」。