近年のインバウンド需要で、日本の神社を訪れる外国人が増加しています。そのようななか、島根県親善大使・出雲観光大使を務めるヒーリングシンガー・深結(みゅう)さん曰く「最近は、海外のビジネスエリートが日本の神様や神道に興味を持ち、学ばれることも増えてきている」とのこと。そこで今回は、深結さんの著書『ビジネスエリートのための 教養としての日本の神様』から、ビジネスパーソンの教養となりつつある日本の神様や神社に関する知識を一部ご紹介します。
神社が抱える問題
近年、境内にマンションを建てる神社が増えています。ほとんどの神社には鎮守(ちんじゅ)の森があり、都会の中にあっても緑豊かで清浄な空気に包まれているので、たしかに住むには最高の環境かもしれません。しかし、歴史ある神社の神域に、なぜマンションが建てられるようになったのでしょうか。
京都三大祭のひとつ「賀茂祭(葵祭)」で知られる下鴨神社(京都市左京区)は2017年、境内に高級集合住宅を建設し話題となりました。
下鴨神社の正式名は賀茂御祖神社(かもみおやじんじゃ)。『日本書紀』に崇神(すじん)天皇7(紀元前90)年に社殿造営の記録がある由緒ある神社です。
『枕草子』や『源氏物語』にも登場する鎮守の森は「糺(ただす)の森」と呼ばれ、約12万平方メートルの広大な敷地には、紀元前3世紀ごろの古代原生林の植生が残されており、1994年には世界文化遺産に登録されました。マンションの敷地は境内ではありますが、その指定区域外の駐車場や研修施設があった場所です。