厳しい世界

理由は簡単だ。そもそも研究機関から募集・公募がないのである。まず古代エジプト史を専門とする教員を求めている研究機関など日本には存在しないということに気づかされた。

世間的に見れば(あるいはテレビ番組的な観点では)、古代エジプト文明は人気がある。もの凄く人気がある。博物館・美術館で古代エジプト文明の展覧会を開けば間違いなく長蛇の列を生み出す。

ただ「人気がある」=「仕事がある」ではなかったのだ。これは今でも学生たちがする勘違いの一つだ。

さて大学生活半ばですでに将来に暗雲が立ち込めて来ていた。それも真っ黒な……。

※本稿は、『考古学者だけど、発掘が出来ません。 多忙すぎる日常』(ポプラ社)の一部を再編集したものです。


考古学者だけど、発掘が出来ません。 多忙すぎる日常』(著:青山和夫、大城道則、角道亮介/ポプラ社)

とにかく休みが来ない!

毎日17時間労働、2泊4日のエジプト弾丸ツアー、ジャングルで黒い物体に追われる……。

考古学者たちの「働き方改革」とは無縁な日々。