親を介護する際の課題は、「仕事」や「お金」だけだと思っていませんか?実は、もっとも大きな課題は「家族関係」なのです。親を思って介護サービス利用を勧めた結果けんかになったり、自分で介護しようと抱え込んでしまったり……。それまでうまくいっていた家族仲が、介護で険悪になってしまうことも少なくありません。親も子どもも無理せず幸せになれる「家族介護」はどうすればいいのか?外資コンサル会社から介護の世界へ。そして3000件以上の介護相談に乗ってきた川内潤さんの著書『親の介護の「やってはいけない」』より、一部を抜粋して紹介します。
介護現場での人材不足や施設不足
日本人の平均寿命は男女ともに80歳を超え、「人生100年時代」と言われるようになりました。
一方で、2025年には団塊の世代が後期高齢者(75歳以上)となることから、今後は要介護者が増加していき、介護現場で人材不足や施設不足が起こるのではないかと懸念されています。
いわゆる「2025年問題」です。
そうした背景もあり、介護による離職を防ぐ目的で、育児・介護休業法が改正され、2025年4月から施行されることになりました。
改正点は三つ。
一つめは、従業員が家族の介護に直面したとき、事業主は必ず「うちではこういう制度が利用できますけれど、どうしますか?」と伝えて、意向を確認しなければいけないということ。
二つめは、事業主は従業員が聞いてくる前から、介護休暇などの情報を発信しなきゃダメですよ、ということ。
そして、三つめは、会社に入ったばかりでも介護休暇・休業が取れますよ、ということ。
これまでは短い期間しか働いていない人は介護休暇・休業が取れなかったのですが、それが撤廃されました。