問題なのは、介護に関わる家族の側のマインド

「へぇ、介護休暇・休業が取りやすくなるんだ。それなら、親に何かあったときは、会社を休んで面倒を見ればいいんだ」高齢の親を持つ子どもたちが、そう思ってしまったら大変なことになる!それが、私がここで伝えようと思った大きな理由の一つです。

たしかに、今回の法改正により介護休暇・休業が取りやすくなります。しかし私は、これが介護離職を防ぐどころか、むしろ後押ししてしまう結果にならないかと危惧しているのです。

仕事と介護の両立に向けての支援策が強化される流れ自体は、決して悪いことではありません。

この流れを受けて、企業のなかには、介護のための帰省費用を申請できたり、テレワ―クの上限を撤廃しているところも出てきています。

ただ、問題なのは、介護に関わる家族の側のマインドです。「介護休暇・休業=子どもが仕事を休んで親の面倒を直接見ること」だと思ってしまうと、それこそ逆効果。

頻繁に休暇・休業を申請して親の面倒を見たり、安易に同居してのテレワークなどを選択したりしたら、介護離職どころか、高齢者虐待につながる可能性さえ高まってしまいます。そのことをぜひ、皆さんにお伝えしたかったのです。

 

親の介護の「やってはいけない」』(著:川内潤/青春出版社)